幼なじみの二人が恋人になるまでの拗れた過程を丁寧に描いた作品。
すんなりと上手くいったように思えた2人の物語が、すぐにすれ違って離ればなれになり、修復出来ない時間が続くのがとても切ないです。特に朔は、周りの大人たちに振り回されて傷つけられ
た結果自暴自棄になってしまったことを思うと胸が痛いです。親や先生など、小さい頃に影響力がある相手にきちんとした愛情を貰えなければ、大人になっても人を信じることは難しいでしょう。だけど、そんな朔の相手がまさに武士のような義理堅く人情深く真面目な京介で、朔は救われたと思います。深く一途な愛情を求め、まさに自分だけをみてほしい朔と、朔だけを見て他の人に全く目もくれない京介は、お互いに求め合った相手だと思います。
ちょっと気になったのは、朔がいつから京介を好きだったのかが良く分からなかったこと。前から好きだったと描写されていましたが、どれが決定的な出来事だったのかが伝わってきませんでした。それと、最後はもう少し朔が京介を全面的に信頼するような関係性が築けていたら良かったなと思いました。
でも、朔の「染色体からやり直してきて」というセリフや、京介がナンパしてきた相手に座りたいのかなと場所を詰めてあげる場面など、笑えるところが随所にあって面白く読めました。
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