亡妻の事が彼ブライアンの心にブレーキをかける。
ヒロインケイトにひかれていくどうしようもない気持ちに、死の遠因となったいきさつが罪悪感を呼び起こす。
ケイトがブライアンの前に現れたとき、風?、とブライアンが思ってしまうシーン、ブライアン
の感じかたを綺麗にシャッターに収めた様な描写で、出会いの絵としてとても印象的。
冒頭から絵の楽しさが滲み出ており、頁を開いたばかりのところから期待は高かった。
丁寧な作風で、線が細すぎずささくれず安定しており、見やすくて明るい気持ちになる、まさにカリフォルニアが舞台なのが合っている。
雨が珍しい、というのに降った、というストーリー序盤の手慣れたような展開も、出会ってからの彼女への衝動的雇用の勧誘(?)と、期待に応えての再登場に対する、ブライアン側の嬉しいサプライズ感がよく伝わる。
ケイトが子供たちと楽しく、そして巧みに導く様子も自然で、難なく溶け込んで入り込み、心を早速掴んでいる絵と言葉に、読んでいる私もウキウキワクワクしている子供たちを間近に見ているかのよう。
彼がそもそもケイトを気に入った。自分のためなのか子どもらのためなのか、最早線引き出来ない。その辺りの、我知らず直ぐ気になってしまって仕方のない所、ベタに展開するが、年齢差一回り以上の嫌らしさがない。メアリーポピンズよろしく風と共に現れた冒頭の設定故か、あくまで一目惚れ的な視線レベル。でも食い込む。直感は大事だなと、読みながら彼の逞しく素早い接近に感心。なんだか私のイメージに沿うアメリカ人。
キャンプシーンがまた素敵だった。
こんな家族的なシーン、HQにあるようでまだ見た事がなかった。
ケイトは若いので、子宝に恵まれれば、よりもっと賑やかで楽しい家庭になることだろう。大勢の兄弟と育ったヒロインのこと、多産系かも。ケイトなら乗り切れるだろうと思わせなんだか憧れる。
男の子達、ホント、ボーイズって言い方にふさわしく、元気で母性に訴えてくるわちゃわちゃぶりで、野球の所など、私も彼らにかけてやる言葉を探したくなった。クライマックスのマイクが男の子してて滅茶苦茶かわいい。
二人の結婚をパパ以上に喜ぶかもしれない子供たちの姿も裏に浮かんで、幸福感は5倍で読み終えた。
54頁の横顔は素敵だ。
しかしスーツ姿のブライアン、スーツが裃のように身体にフィット感が無くどこかのっぺり平面ぽい。
もっとみる▼