突如始まった長いマスク生活。
ひょっとすると、それ以前の生活の方が幻だったのかな。
今信じている事も、正しいのか怪しい。
何を自分の軸とすべきか、考えても分からない。
明日という日が分からない。
何を間違えて、いつからが間違いだっ
たのかな?
今の世の中、抱える問題が多すぎて、
この先の未来を生きる意味なんてあるのだろうか
いよいよ人類の断末魔に向かっているのかな
そんな風に思えてしまう時もあります。
だからこそ、この作品を読みたいと思いました。
あの戦争を、自分ならどう生き抜くことが出来ただろう。
読み始めたら止まらなくなりました。
戦争を題材とした作品で、ここまで主人公と一体となり
受け止め、考え、虚しくなったことは無いかもしれない。
回想ではない、その当時の風太郎の言葉が鈍痛の様に、
そして名もなき「日本人」の言葉が生々しく刺さります。
それでもそこに存在するユーモア。
あの状態から復興したという事実。
前向きな気持ちにさせられつつも、今の私たちにそんな力があるのか…とも考えてしまいます。
ラストの言葉に呆然としてしまいました。
結局自分が何者かや、取り巻く世界を知る以前に、
ただ生きて、宿命を全うするしかないとしか言えなくなりました。
力強さと同時に虚しさに圧倒されました。
そして愚かなりとも、考えて生きねば感じました。
原作は未読なので、是非読んでみたいと思いました。
誰にでも読みやすい形にして下さった勝田先生に感謝。
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