客の木内が、ホステスの容子に得々と語る、クラブやスナックは疑似恋愛の場だ、ホステスは客に、仮想恋愛をどれだけ思い込ませるかが仕事だと。その通りだけど、私は遊び慣れた男の変化球なんか嫌い。女だって本気でときめきたいと思っている。でも連れの橋本が、直球で来た。素直な告白に容子の心も本気になる。でも実は、木内が橋本に「容子を陥とせと…」とけしかけていたのだ。ところが橋本も本気になっていた。ネオン街に生きる女を描く、珠玉短編集。「恋待ち草」他に「宵山の夜」「ひとめぼれ」「プラチナの男」「男だけのアクトレス」「夜の海フィッシュオン」「夢の代償」「凍てつく夜に」を収録。