正直、初めて読んだ5年前は世界に入り込めなかった。作品の問題ではないだろう。自分の環境とタイミングが、読後感を全く違うものにしてくれた。今回は、翠の気持ちも、麻宮の気持ちも、全部我が事のように共感できた。
前回は、どこか、別の出来事だった
ので、晃に何でそこまで?との疑問まで持っていた。
翠と晃の二人は勿論だが、瀧川マンとマミリンの軌跡も、人を想う気持ちというものの繊細さがよく表されている群像物のような学園もの。二人のひろこサンや、異母兄弟、親の離婚に、亀裂入った母子関係など、長編作品にある何本もの糸の絡まりあいが読みどころ。
絵も今回は積極的に愛せた。仕草やモノローグにツンと来る青春の若さを感じ取れる。
生徒会という小社会の学校行事に対する熱気も伝わってくる。
ひろこさん、何で最初にフランスへ一緒しなかったんだ、と、思ったが、制作年度から、地に足のついた行動を選択して不思議はないと考え直した。
初めは美しく見えなかった横顔が、頁を追う毎に美しさが感じられ、見とれた。
いい十代だったな、と思える学園生活を見させてもらって、話の中にキュッと詰まったキラキラをいただいた。
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