愛というものは許すということでもあるのだしと考えようとしたけれど、ヒロインが人に寛容すぎて寛容すぎて、読んでるこちらがわだかまりを残す。
どれだけヒロインの方が辛かったか、ひどい言葉を投げつけたほうは謝るだけ、謝るだけですむのか?
傷つけているほうは、言葉で何度も攻撃したが、謝るときは一回の謝罪、傷つけられた心の側はそんなに簡単に傷は塞がれないだろう。
知らなかったとはいえ、なぜノコノコ現れたのだ、との疑問点から、当人キャラを振り返れば、真実が伏せられても、何らかの事情を抱えているのではないだろうかと察しが付かないのか?
最初からちょっといいなと思ってる相手から受ける暴言は、かなりキツいはず。互いにひかれあっての上での憎まれ口も、使う言葉のトゲの程度問題だ。妹の激しさも、若さゆえに、平気でヒロインの心を出血させて、容赦がない。ストーリー上の盛り上げ要素だったとしても、このあと姉妹になれるヒロインの優しさが、信じがたい。
そんな、心の優しいヒロイン、家族に囲まれず、親の愛も、家族と共に過ごせた人たちと比べてどれ程大変だったか。
ヒロインの母は、いかにして、ヒロインを育て上げたか、想像するに涙ものだろうとは思う。
彼クインも言いたい放題、真実が判ったその衝撃があの態度、引っ込みがつかないほどやらかしたことを、直ぐには「なんだそうだったのか」で済むようなところにいなかったのも判る。だが、読者的に頭ではそれは成り行きとして理解するものの、なんだか、あれだけの言葉投げつけておいてその挙げ句に居直りなどと、「どうもなんかなぁ〜」、との気分なのだ。
ヒロイン当人がインテリデザイナーとして既に足場を固めており、生活力があることが、よかったと思う。
この話、誰かをかばうことで、ヒロインは耐えたけれど、それは遺産相続後のごく短期間のこと。
もっと、二十年以上も真に耐えたのは誰だったのか、を思うと、シングルマザーで頑張ったヒロイン母が報われる道が無いのが残念でならない。その長い月日が胸に応えた。
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