中国で、逃げることが最上の兵法である、とした三十六計策があった。この物語は我が国での、織田信長達が、生きている証を発揮している時のこと、黒田官兵衛高考という武士の生きざまを描いたものである。どの話もそうだが、人は、人が命を賭けて事を成すこと
に感動を覚えるものだ。たぶん自分にはできないからだと思っているからであろう。そして兵法とは、命を賭ける者達への、勝つためへの指針であることは周知の通りだ。逃げることも、敵を作らないことも、最終的には勝つためである。つまり自分の勢力を伸ばすためなのである。選別されていく世の中ではやむを得まい。要するに、生きていくということは、ストレスなのである。この事実を承服してこそ兵法にも活用の値打ちがでてこよう。ストレスの無いことを願うより、耐えることは、気に耐えること、即ち鍛えることだとして、ストレスに莞爾する時、打つ策略に妙味を見ることができるのだ。
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