狩野先生のファッション業界ものをまた読みました。それも、デザインが盗まれるというところも共通していて、犯人探しまで似ていて。
でも、まるで内容は違っていました。相手が何を着ているか、ではなく、着ていない姿を、つまり、それはありのままの相手
が好き、という、もうもう私の大好きなテーマのひとつな訳です。
仕事に対するプライドの高さ、キャリアに対する真摯な思い、相手の期待に沿えるよう努力する姿勢の素晴らしさ、よく描写されていました。
そして。コレクション発表の季節のパリモード界を、ちょっと覗き込ませてもらった気がしました。
ヒロインが彼に初めから服の奥にある彼を見ていたのが、後になって効いてきます。
彼も、ヒロインの生き方を、ひとつの生き方として、観察した上で気持ちよく評価していることが素晴らしいです。
二人は其処で出逢ってしまったんだ、と、余計な駆け引きも鞘当てもせず、互いに己の気持ちに正直に過ごしたパリでの日々や、いかにも二人らしいやり取りのシーンを見せつける「その後」の描写に、素敵な二人の関係性が伺え、何も共通項が無くとも愛し合えることを羨ましく思いました。
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