男前なヒロインが、手に剣を取り、外の海に船を漕ぎ出し、奴隷に拐われた弟を救う勇ましい物語。
北の海、バイキングたちの戦場。
命を助けてもらった漂流者は故郷への帰還には結婚が交換条件だと、男勝りな族長の娘(庶子)に告げられた。
HQの北
方系舞台ものは、さすが、西洋が源流の原作者たち豊富なせいか、歴史の波の様々なうねりを、恋愛絡めても臨場感が
出る。
それに、コミカライズをされる漫画家諸先生の技量が確かだと、こうした、サーガ(?)はそのバイキング風描写が様になっている。
民族的特徴や雰囲気もそうだが、海の描写も重要。
HQは、南欧であるギリシアものが多い上に、旅情豊かに世界各地の美港や島々がよく登場する。
このストーリーは、北方の海、海は海でも、南国のリゾート地とは、空気も景観も水の感じもすべて違う。重くうねる。
その、違う、という描き分けができる先生が、厳しい海と、食うか食われるかの、略奪者の出没対平和な海沿いの漁村、という図式に説得力が出る。
女らしさを求めていた男性にはヒロインがかっこいいのは認めるとしても、異性の魅力は見えづらい。
しかし、彼は日を追って気づく。ヒロインの強さの中にある美しさ、押し付けてこない美しさの中にある人間的魅力を。また、それなりに頑張れば美しく仕立て上がる地のよさで、婚儀の日は一発KO。
島の暮らしは、のんびり穏やかなものだとばかり思っていた私は、荒らしに来る無法者の存在を、同作品のストーリーで初めて認識した。
ヒロインが、彼のことを、最初で最後の男と想って捧げる初夜が、ハーレクイン数ある契約婚の流れでの初夜で、最も切ないと感じた。
ただ、連中は背が高いから、もう少し、背が高く見えるような外見上の仕掛けがあると良かった。
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