表題作とその表題作の攻めの高校時代の親友カップルのお話。2つのお話には繋がりがあるので読みやすいです。
表題作のカップルは久坂の切なさも森安の切なさもどちらの気持ちも分かる。不毛な気持ちだと知りつつも想い続ける久坂の姿は明るく振る舞っても
痛々しいくらいだし、そんな久坂の切なさと自分じゃ何もしてあげられない悔しさで泣いてしまう森安の想いもまた苦しい。二人が納得できる着地点を探しながらもがく様子は恋愛の難しさを感じました。
そんな中、気になったのが藤巻の対応。久坂に告白され気持ちを知っていながらも、奥さんの妊娠を告げたり、裏で森安を牽制したりと久坂の気持ちを振り回すことばかりして、とても嫌な印象を持ちました。久坂が大事な友人であるならば、もっと違った立ち位置をとるのが彼の為では?。友人という都合のいい関係を利用して自分を慕ってくれる人を手放せないズルい人だなと思いました。久坂が長い間想い続けた人がこんな人なのはちょっとやるせないなと残念でした。
2つ目のカップルは、片思いしてる内村がじんわりと青木の心に寄り添い、自分の存在を少しずつ大きくしていくというもの。この2つのお話はどちらも片思い側が相手を振り向かせるお話ですが動と静というように全く違った印象を持ちました。どちらも相手への一途な想いが伝わった良いお話です。
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