淡い恋心というのは物心ついたときから経験値を積み上げるけれど、ここまでステップを進めたものをも捨ててまでそっちと一緒になりたい、というのは大概の人間には出来ない。
もっと早く出会いたかった、というギリギリな台詞は身に覚えあるけれど、それも
、一緒になれないなら同じ事。
映画「めぐり逢い」(本家も派生もリメイクも)が私は大好きなので連想した。作者は、裏切りの罪を、二人の気持ちを優先させるストーリーの方向に制作する時に用意する。だから、このストーリー、二つの事故を、事故が多すぎだと作者に苦情を言い立てるつもりはない。
誰が守られ誰が犠牲となったか、しかし、誰が愛を得て誰は愛とは別物であったか。男女の愛はどこに存在したか。子の為に離婚しない、という結論を胸に、結婚生活を継続中させ異性としての愛情を破綻させている男女の多いこと。それでも人は義務と責任の狭間に置かれて生きるか、本心の望む方を向いて背中に非難と涙を背負うか。倫理的というのは一体誰に向かっての人の倫(みち)なのか。
誰に誠実であろうとしたか。選ぶところ何に対して正直なのか。
容易に断罪は出来る。だが横恋慕も人間界は豊富。人の気持ちをどうこう出来ない。婚姻制度という縛りで既婚未婚を辛うじて線引きして守る仕組みも、人間の工夫。
それによって起こるドラマも、やはり、ドラマチックになるなぁと思う。
愁嘆場も泥仕合も、刃傷沙汰もなく、この話の作りのメインは事の是非というよりも、出会ってしまった男女の経過がメイン。
スポーツの試合や大統領選挙の、負けた方のコメントの、潔さのようで、愛のある方に上がった軍配を受け入れてサクッと引き下がる婚約者の引き際がやけに清々しく格好いい。超綺麗に作画されて、つなぐ彼女のターンの話に強く興味を惹き付けている。
単品のところにレビューを入れたがセットで読んでいるので、続く「仮面のラブゲーム」を楽しみにしている。
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