さいとう先生の作品は色々読ませていただいてます。この作品がいつものさいとう先生の作品と違う感があるのは1700年代後半に書かれたラクロの原作『危険な関係』に限りなく近いからでしょう。しかも、ラクロは作家ではなく軍人だった!驚きです。
物語
は18世紀フランスの社交界、とある事がきっかけで復讐(ゲーム)を仕掛ける男女の間で交わされる手紙から展開していきます。男女間の手紙のやり取りはまるで現代のメールの様で私には 原作を読んだ時以上に新鮮でした。そして読み終えた感想は何時の時代にもこんな裏工作があるのだという事、男はプライドや立場を優先するのだという事(現代の男性が全てそういう人とは言えませんが)、そしてそんな男よりも女はずっとしたたかで嫉妬深く、強く恐ろしいという事。原作を読んだ時の感想とかわりません。漫画にしてはかなり重い作品ですが、そこは原作が時代小説であるから、原作に限りなく近い描写だからなのでしょう。こんなに中身の濃いものを漫画でサクッと読めるとは思ってませんでした。さすがさいとう先生!
ちなみに表題は『子爵ヴァルモン』とありますが、主人公は侯爵夫人。
物語の最後もぼかしがなく、それぞれの行く末までしっかり書かれています。
原作は映画化も何度かされているみたいですし、歴史小説をお好きな方にはオススメできる作品だと思
います。原作と合わせて読まれるのも良いのでは?
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