記憶喪失の主人公!というと、シリアスだったり苦しいお話なのかな?と最初は思いましたが、超ポジティブな月子が面白く描かれていて楽しいです。
主人公のキャラが人とはズレていて、それがコメディノリで描かれているのはクスッとさせられるんだけど、主人
公はズレてるつもりなんてなくて、記憶喪失前の自分にならなくちゃ!って本人なりには本当に一生懸命で。周りの人には何を言われても平気な変な人、くらいに思われてるけど、本当は平気じゃないし、傷付いてるし…でもそれを表に出せるような子じゃなくて、いつも気をはって前だけ見てポジティブに頑張る月子には何だか切なくなるというか、胸を締め付けられるような思いにもなります。
記憶喪失前の月子に拘らず、今のままの考え方の月子を誰か受け入れてあげてほしい、幸せになってほしい!という気持ちになります。そしてそれを実現してくれる存在、転校生の加賀美くん。最初はいくらうざがっても、ポジティブ思考でどこまでも寄ってくる月子にうんざりしてましたが、記憶喪失前の自分といつも周りに比較されている月子の苦しみに気付き、いつも一生懸命で過去の「月子さん」になろうとして無鉄砲なこともしてしまう無防備な彼女が心配でたまらなくて、気付いたらいつも月子のことを考えてて、守ろうとしてくれる優しいヒーローにキュンキュンです。
巻末おまけ漫画(作者さんのお話)も面白くて、この青山月子というキャラクターはこの作者さんにしか描けない子だなと思いました。
人とズレてると思われる、いわゆる変わり者視点でストーリーを描けるのはそういう気持ちを理解できてないと無理だと思うので。作者さんを変わり者と言いたいわけじゃないんですが、作者さんの個性というものが存分に漫画に活かされている作品だなぁと思いました。
世間で「天然」と呼ばれる人は、つくってる人以外は何故自分がそう言われるのか意味が分からないし、自分って人と違うのかな?って不安に思ったりするんですよね。そういう感情が、まさに月子と重なってるように思えました。
月子の場合は記憶喪失という大きな問題も抱えていますしほんとはその苦悩は計り知れないものでしょう。これから家族の問題とかも出てきつつ、月子が今の月子のまま周りに受け入れられるエピソードになることを期待しています。幼い頃の加賀美くんとの無くした記憶もあるでしょうし、恋愛面も楽しみです。
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