冒頭からすごい勢いで吸い込まれてしまいました。
きらきらと二人の二人だけの慣れ親しんだ掛け合いが優しくテンポよく進んで、身も心も羽のように軽い少年時代の熱く真剣で夢のような日々が綴られていきます。
よく硝子のようと言いますが、本当に
薄い硝子のように透き通っている思春期の様がピリッと痛くもあり爽やかに甘い味を残してくれるようです。
登場人物は少ないのですがそれぞれの過去や背景、未来の物語が知りたくなるような魅力があります。
二読目、回想録である冒頭で一気に涙が溢れました。
ますます物語に惹き込まれ、語り手の一言一言が細かくて優しい針のような少しの痛みとともに心に沁みてきました。
愛おしくてずっと抱いていたいです。
語り手は2人のどちらかであることはわかるのですが、寂しくもあり愛おしくもあり。
あとがきの先生のおっしゃる通り、閉じこめておきたい物語であると共に、それぞれの現在の幸福を覗き見たい物語でもありました。
巻き戻せないきらきらした過去が懐かしくて切ない余韻として今日一日反芻してしまいそう。
この作品に出会えて良かった。
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