卓越した推理力と正義の投げ銭が悪党を退治する痛快時代小説!
千駄木螢澤には、水も垂れそうな良い男ばかりが揃っているからと
名付けられた「源氏長屋」というものがあった。主人の鈴川主水を
頭に、弟の佐野松、掛り人の杵太郎、下男の猪之松まで、間違いなく
男と知りながらも、本当に惚れ惚れするような男ばかりの男所帯。
ところが最近、その源氏長屋で妙なことが起こっているという。
主人の弟の佐野松が、次第次第に影が薄くなって、痩せが眼について
きたと言うのだ。
主人がいろいろと気を付けて見ていると、離れになっている佐野松の
部屋へ、夜な夜な通ってくる女があるというのだが――。