才気あふれ、17歳という若さでデビューした詩人・すみれ。彼女の成長は少しだけゆっくりで、その後もまわりが少しハラハラするような、でもそのときどきに宝物を残してくれるようなものでした……。幼い娘の成長に不安を覚える母、生徒に詩人としての才能を見出した中年教師、姉の自由さに苛立ちながらその才能に憧れる妹、伸び悩む詩人に苦悩する編集者、クラスメートの名前が書かれた詩集に出会う販売員、アパートの隣人にときめく大学一年生男子。すみれと係わったひとびとが、その季節のあとに見つけたものは……。本作は、アンソロジー『あのころの、』(実業之日本社文庫)に収録された短編「ぱりぱり」を第1話に、詩人すみれと出会った人々それぞれの視点で描かれる全6話の連作短編集。