太宰治の『津軽』は「新風土記叢書」の1冊として、昭和19(1944)年11月、小山書店から書き下ろしで刊行された自伝的紀行小説です。太宰は、1944年5月から6月にかけての約1ヶ月間、青森中学時代の同級生、中村貞次郎の案内に助けられ津軽地方を取材しました。旧友たちとの酒宴、兄たちとの和解、乳母との再会など、感動的場面があふれる本作は、太宰の最高傑作の1つとされています。巻頭に「ミニ解説」(過去と現在をつなぐ旅:北條一浩)を付け、2010年の常用漢字改定に照らし合わせて読みやすくした縦書版電子書籍です。
目次:
序編
本編
一 巡礼
二 蟹田
三 外ヶ浜
四 津軽平野
五 西海岸
著者・解説者紹介
著者について:
1909年6月、青森県北津軽郡金木村(現五所川原市)生まれ。本名、津島修治。東京帝国大学仏文科中退。1935年「逆行」が第一回芥川賞候補になる。1936年第一創作集『晩年』刊行。以後、「女生徒」「斜陽」「人間失格」等著作多数。1948年6月没。