最後のあとがきで哲学がテーマとわかり納得です。だから主人公のマホロは夜光花先生のこれまでのキャラと違って内省的で優しいけれど消極的で、それには生まれや育ちのバックボーンがある、物語を牽引するのにぴったりのキャラクターでした。何かを選ぶことは
怖い。まだ見えない未来を選ぶこと、わかっていて選ぶしかないこと、命を選別すること。人は善にも悪にも傾く細い糸の上に乗っていて、でも自分だけはいつも公平で正しいと思っている。マホロの迷いは読者への問いとなり、そもそも正義を判断するのは誰なのか、光の精霊王の言う中庸であり続けることがいかに難しいことか考えさせられます。大きなテーマを扱いながらファンタジーの面白さを損なわず、持てる魔法スキルや場所によって魔法が使えなかったりする、ゲームのような組み立てを操るストーリー展開は作者こそ魔法使いのようです。いくつか考えられたエンドに悩んだ末、一番無難なラストになったとのことですが幸せなエンドを選んでいただけて良かった!奈良先生のイラストも素晴らしく、キャラ絵の相乗効果でとにかくマホロが可愛い!登場人物全員に無駄なく役割があり、おさまるべきところに全てを着地させたのはお見事というしかありません。面白かった!
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