葛西リカコ先生のイラストが好きな私は先生の表紙絵に釣られて此の小説を読みました。先生のイラストはため息が出るほど美しいのに、小説の内容はそれを裏切るものでとても残念な思いで一杯です。
天崎直人も堀口歩も二人ともが被害者であって、贖罪すべき
なのは歩の父母なのではないかと思うのです。歩の目から見た両親は完璧な人だったのかもしれませんが、実はそうではないことが判ってくるにつれ、益々其の思いは強くなります。
穿った見方をすれば、堀口夫妻は神の罰を受けたともいえるのです。人の心を弄ぶ人間には突然の予期せぬ死はふさわしいのかもしれないとさえ思ってしまいます。
後味の悪い小説を読んで仕舞ったので、気分が高揚するような小説を読んで、此の小説のことは忘れたいと思います。
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