減らず口で、がむしゃらで、自分の価値観を絶対的正義と考えているヒーロースターン。頭の良さも手伝って ヒロインエデンを論破してやろうと 常に意気揚々と そして余裕綽々な態度で見下ろす30代半ばのオヤジ まあ、作画からは10歳は若く見えますが。
後見人として18歳の少女カミラを心配し、一心不乱になるのも頷けますが、それは彼自身の保身の為ともいえるような行動の理屈が エデンと読み手に憤りを感じさせていて この先に待ち受けている問題に暗雲を感じさせる。しかしそうはならず、差し込まれる 小さな仕返し(悉く失敗しているが)や、スターンの優しい気遣いに 通常に引き戻されるという展開を見せていて、そこに彼女の賢さや、強さが 可愛らしさと相まって 美しく凛とした佇まいに描かれているのを見て私は大いに惹かれ、カミラがスターンを 一途に「後見人」と呼んでいることで 彼の立ち位置を把握した。初めて2人で来た「丘」の場面では、作者の人物作画の個性がとても合っていて 癒しの権化かと思えるほどに素晴らしかった。人を色眼鏡で見るという事は、避けられない現実なのかもしれないが、トーマスの出自に拘っていたスターンが、若い二人の行く先の「金」問題に だけ 拘っていたことが分かって留飲を下げる思いだが、社会的大物であるエデンの実父が 彼の価値観をくすぐっているのも見て取れて 些か溜息交じりのハピエンとなっていた。
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