何処にも居ないでしょう。こんな風に描ける漫画家は。
大きくふたつに分かれ、後半はボウル直撃による脳内別建てストーリー。パラレルワールドのようであり、作者二種作成のまるでオルタナティブ展開のようでもあり。しかも、結論は結局、というのが巧みな
のだ。
思春期特有の、素直になれないところ、或いは、好きな人に女らしさをアピールだなんて絶対やれないところ、寧ろ無理無理に三の線で突っ走ってしまうところ、その辺の感覚も、くらもち先生の他作品キャラに通じる、コンプレックスがよく出てる。
しかも本作品は、好きな人に真っ直ぐ向かえない負い目すらあって。
これはリクくんのせいではない。主人公のせいでもない。端午くんと言霊が取り憑いている、そんな風に感じる作品。
もちろん、誰を好きになろうとも、本来責められるものではないはず。
しかしその正論は、関係を歪ませた事件に由来して、後ろに追いやられてしまっているのだ。
親の期待、幼少期の自分の気持ち、トゲのように引っ掛かった過去のエピソード。微妙に二人の心に、否三人の頃のその日に兆した影が、ずっと引っ張る。
タイトルのこの感覚は私には、もちろん何となくはわかるけれどもそこまで付けちゃったのは色を付けすぎた感じは残る。
何が起ころうとも、どんな経過を辿ろうとも、ということなのではないか。
読み手は、特に、ハッキリさせたい人には厳しい。
私は、こういう作り方が出来るからこそ鮮度が保たれ、くらもち先生の漫画には、枠に囚われない魅力が膨らむのだと思うのだが。
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