人の申し出に甘えられない、自分の望みを主張出来ないヒロイン。双子の妹の好意も辞退してしまって。
好きな人に会いたいとも伝えられない、そこはとりわけ勇気のいること。
初めて自分の意思でフランスに行くことになったと説明される冒頭。そして
、問題ある父親から離脱に当たり、喜びよりも、これから困難あるかもしれない日々に対して気を引き締めている様子。
彼は下心あるでしょう、と、読み手のこちらは勘ぐりつつ、それでも物語は内気にヒロイン視点で進むため、彼の気持ちはキスに集約されるのみ。
本当に最後の最後になってようやく振り絞る勇気。
切羽詰まり、期限ももう到来するとなったときのヒロインの一大決心。やっと心と言葉と行動が同調を。
麻生先生は確か他の話でも、こんなような小さな話で一冊フルに頁数使うのは勿体無い、と感じる作品があった。
そういうのとこれとを一冊にして出してくれていいのに、とは思った。つまり少し私にとりあっけなかった、ということだ。「サクサク」読めるタイプというのは余りに皮相的な印象を持ちやすく、コッテリばかりも胃もたれすることはあるが、このような小品で淡い口当たりだと、二作詰め合わせで一冊というのが、価格比丁度いい。
絵はいつものキレかわでキラキラの女の子ヒロインと、唇の厚めな肩幅広い黒髪紳士。
先生はメインキャラがお子様に見えないからHQの空気感をよく出せる。
但し本作はたまに輪郭が横幅食った気がするコマがあった。
レビューアーさんが妹編(「さようならは私から」)を先に読むべきと書いてあったのを読み過ごしていた。
確かに、逆に読んだ方が話の背景説明が妹編に比重があり、その方が飲み込みやすいので、両方読むなら妹編からどうぞ。
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