学校ではイジメられ、母親にはネグレクトされ、その日暮らしの寝床を求めて体を売って生きている少年の、辛い現実とある出会いをきっかけに未来が変わっていくお話。
これはBLという枠組みの作品ではなく、社会問題を取り扱ったノンフィクションなのでは
ないかと思うくらいリアルな作品で、読んでいて胸が重たくなりました。ここに描かれている数々の問題は現実に存在し、晃人のように心を殺して生きている子どもたちがいると思うと、苦しくて悲しくて無力さを感じずにはいられません。自分勝手で汚い大人たちの中で生きてきた晃人にとって、康介との出会いによってはじめて光が差したのに、彼が未成年であるがゆえに助けられない、犯罪になってしまうのもまた現実で、社会の構造の暗い部分を全てあぶり出したような展開を真っ当に表現していると思いました。物語なら、康介との出会いによって救われるストーリーでもおかしくないのに、あえてリアルを追求し社会問題として浮かび上がらせた作者様の力量は素晴らしいと思います。ただ、とにかく辛い描写が多く、複数人に犯される場面はえちではなく完全に無理矢理であり、エロさは皆無です。丁寧に描かれているのに嫌悪感しか残らないというのも逆にすごいと思います。
晃人が康介との半年にも及ぶ生活によって、未熟さから大人になる為の芽を出し、きちんと自分の言葉・選択で未来を切り開いたことは成長による力だと思います。それは康介からの愛情をきちんと受け取った証でもあると思うと、康介の優しさにもきちんと意味があったんだなと報われた気がしました。最後の相手は康介であってほしいですが、もし違ったとしてもきちんと幸せになれている未来が垣間見れて良かったです。
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