永久に許諾がないのかと案じていたくらいです。
抜群の表現力で、漫画でなければ描けないコマで、くらもち先生しか出来ない表現をしてくるので、先生の作品は、実写化困難な筆頭と思います。
ストーリーも凄いけれど、私が感服しているのは描き方だから
、そこをじっくり味わって欲しいと思います。ストーリーだけを追っかけてると、良さは半分も判らないと思います。言葉と絵と心情をどう切り取って乗せてくるか、クラスメートの騒がしさだとか、描き方にライブ感があり、また、静止画でも迫ってきます。
クライマックスの職員室で会う直前からまたコマの提示方法が特に素晴らしい。マンガの魅力ここにあり、なのです。他の表現形態だと限界があるでしょう。絵的に好きな場面はいくらでもあります。
しかし、なぜくらもち先生は意地悪な女友達を出しよくもまぁこういうキャラに仕立てるのか、興味深いところです。この場合は感情の投影がありますが。
教師の私生活、結局は生身の人間の部分、人間のエグいところを描写して、教職を聖職とせず、PTAさえも醜さを持つ大人のリアル。その中で、大人や周りにワカコが投げ掛ける言葉がまっすぐで、その通りごもっとも、で、響きます。そのセリフはその年頃だから発することが自然で、そうした純粋さ繊細さが、同時に大人びたところのあるワカコというキャラに共感と魅力を与えます。因みに、遠藤くん、色々わかっていて、でも最後詰めきれぬ、中学生男子の限界がグッと話を盛り上げます。
中身たっぷりの中学生ラブ。当人は何歳であっても、好きな人には真剣なのもよく伝わります。
私の好きな作家の、最も印象的な作品のひとつです。大好きな作品が電子書籍になってくれて、中古本探ししないで誰もが読めるという、この環境を、大歓迎します。
只一点、電子化を想定していない制作なのだから、見開きの右から左へ横に視線が移る狙いの演出効果は全て、一頁ずつ表示ではその良さは潰される、そこが残念でなりません。横読み推奨。
見開き2頁1コマ表現を多用されない先生で助かりました。
大画面の、タブレットか、パソコンで読めるならその方がいいです。
とあるブログにレビュー(livedoor裏庭の柵を越えて2009
年)があり、先生の画業となりを十分理解した上での洞察力、男性視点の面白さがよく表れていて、読後に一読をお勧めします。
星7つ位あげたいのに、5つ迄で残念です。
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