原作が、大正期の元花魁の自伝(というか日記を元にした文章)なので、過剰とも言える漫画表現がかえってそうでもしないと伝わらない逼迫した悲惨さを伝えてくる。
主人公の春駒は、当時の女性としてはかなり高い教養を持っていたが、女衒の口は本人や
家族を簡単に騙してしまう。吉原に花魁として売られるのがどういうことであるか、地方の男なら知っていたかもしれない。しかし売られる娘は知らない。これがどういうことか、想像するだに恐ろしい。
漫画はあまり今風の絵ではないが、起伏に富んだ内容で難しい廓用語も出て来ず、初心者にも易しい構成だ。
ただ、『青楼オペラ』や『花宵道中』しか知らない読み手にはあまり向かないかもしれない。現段階で、花魁たちには恋をする余地がない。
個人的に何とかしてほしかったのは、清川さんのサイドだけ垂らした前髪。原作がノンフィクションだというのに、有り得なさすぎる描写はちょっと残念がすぎる。
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