絵で損してるがストーリー展開力凄い。笑えるシーンの多い前半で、まずい相手に惹かれ始めてる自分を何とか抑え込んでいこうとする先生の苦しさ辛さが、同僚教師のチャチャによって滑稽な位に振り回される描写となって、ありきたり展開を十分排除している。ち
ょっと状況に冷静な二人、堂々と出来ない点がリアルな教師生徒ものが好きな私にはツボだ。
先生が告白することになるシーンは、たまらずにその状況を迎えることになった、その勢いがよく描写され、マンガは、構図と台詞と、何を描くか、すべて総合して受け止めるものと強く実感する。
何をどう描くか、それは、センスそのものだろうが、誤魔化しを止めて主人公の想いに向き合う先生が男性として、よく感情を吐き出していて、この場面数頁が解き放つパワーに感心する。生徒たちに慕われている教師の中にある熱情が見え隠れする、この迫力のシーンで、私はここに、作品の芯にある、先生の愛情というものを見て、最後まで二人を見届けたい気持ちに駈られるのだ。
生徒たちの、先生たちとの悪くない信頼関係が、学園生活の充実も物語っている。先生たちが可笑しい。生徒たちの、変わり種教師に対する敬遠の態度がそのまま漫画の良さとなって、本作品全体のキャラを明るい方向に引っ張り、互いの気持ちが関係に影を与えかねないところを救っている。
先生生徒間恋愛の負の部分もストーリーに落とし込み重層化した中で、あえて、その暗さを当人たちは幸せであったと肯定化することで、前を向かせようという暗喩も良い。
主人公を好きな男子クラスメートという、この種のストーリーに不可欠なキャラも、この作品の中では冒頭から出番待ちのようにベールに包んだままの配置で構成され、結果として満を持しての巧みな登場となっている。連載長期化の過程で突如の新顔登場よりも、小技の光る、上手い作家と思う。あれだけ名前が出て来て、姿が登場するのがそこか、と、ドラマ作りの才を見た。
緊張のシーンの盛り上げと、辺名先生のシーンで込み上げさせられる可笑しさとが楽しく同居する、エンターテイメント作品。先生ー生徒ものは少女マンガの一大ジャンルだが、これは関係性の暗さをカバーする脇役の怪演が心地よい。
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