申し分のない物語で画力もあってよい出来栄えなのだけれど、あと少しだけ色気が欲しいところ。お互いの生存競争の渦中にあって、芽生えてしまった恋心に苦しむ2人だけれど、資金力の前にはどうしてもヒロインよりもヒーロー側に軍配が上がってしまう展開は、
有無を言わさない力と存在感が見て取れる。そんな彼に屈してしまわぬようにプライドだけを礎にして立っていようとするヒロインの行動に、彼の父親が絡んで苦しくなる。それでもヒーローの誠意と愛情を見せてくれて万々歳な仕上がりに胸が熱くなった。2人の想いは十分に伝わってくるのだけれど、セリフに頼り過ぎていて、放射される熱が愛情がその空気感が乏しい。残念なのは、ページの縦横を変えてまで作りたかった2人のシーンを左右見開きの上半分を使って描いてほしかったと思う。愛憎とするほどの過去の両家の対立を愛情に変えるほどの壁を砕く情熱を見たかったと感じる。
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