電子書籍ストア「コミックシーモア」で配信されるやいなや、スキャンダラスなタイトルと“公認不倫”という奇抜な設定で話題を呼んだ『夫に不倫をお願いされました』(著:中家ヨシタカ/シーモアコミックス)。
テレビ大阪(毎週木曜深夜24時〜)をはじめ、テレビ愛知(毎週火曜深夜1時30分〜)、テレビ東京(毎週水曜深夜3時20分〜)で放送中のドラマも、原作同様に攻めた演出と俳優陣の熱演でぐいぐいと観る者を引き込んでいく。
ただし、つい過激な展開に目がいきがちだが、一人の女性として“公認不倫”に揺れる主人公の感情が赤裸々に描写され、ときに夫婦や家族の在り方、愛の本質に切り込む鋭い視点こそ、原作が多くの読者に支持された理由だろう。
今回は、ドラマ化を記念したスペシャルトークをお届け。原作者の中家ヨシタカと夫婦役を演じた中村ゆりか&佐野玲於が、原作の魅力やドラマの見どころをたっぷりと語り合った。
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“公認不倫”という実体験は「漫画にしないと損だ!」
主人公の花恵は、娘の育児と家事に追われる主婦。夫の弘樹とはセックスレス状態が続いていて、性生活に満たされない想いを抱いている。一方、銀行に勤める弘樹は仕事に忙殺され、終電帰りもしばしば。花恵に身体を求められても応じる気力がない。
そのすれ違いの矢先に弘樹が放ったのが、「花恵のことは愛しているけど…外で解消してきてよ、セックスも寂しいも全部」という衝撃的なひと言。「そんな夫いるわけない!」と思いきや、中家先生の実体験(!?)がベースというから驚きだ。
中家「夫から“公認不倫”を言い渡されたときは、寂しくて、悔しくて、涙しました。しかし泣くだけでは悔しいので公認不倫を実行して漫画にしてやろうと思いました。お会いした方々に『あなたとのエピソード、漫画にしていいですか?』と許可取りをし、取材メモの作成も始めて。設定や展開に漫画的なフィクションは織り交ぜていますが、登場する男性のセリフやキャラクターはノンフィクションです。ドラマ化が決まったときは本当に嬉しくて、泣くだけで終わらせなくて本当によかったです」
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2025年、自らの体験をもとにした漫画『夫に不倫をお願いされました』をコミックシーモアにて連載スタート。赤裸々な描写と共に、女性や夫婦の在り方の本質に迫る内容が多くの支持を集める。
“公認不倫”と聞くとドロドロした愛憎劇を予想しがちだが、随所にコメディー描写がちりばめられている点は本作の大きな特徴だ。弘樹を演じた佐野さんの言葉を借りるなら、“露骨でポップ”。いくらでもシリアスな描写にできたはずだが、なぜコミカルなタッチにしたのだろうか?
中家「それは、ずっとギャグ漫画に憧れていたからです。なので、どんなテーマでも明るく笑えて、気軽に読めるように描くことを常に心がけています」
ちなみに、「母親になっても女は女だわ」「オレは無料風俗じゃないんだけど」など、思わずページをめくる手がとまるキラーワードの数々も原作の魅力。それらがどのようにドラマに反映されているかにも要注目だ。
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幸せを求める一人の女性として花恵役と向き合う
主人公・花恵を演じる中村ゆりかさんについて、「こんなに美しい女優さんに私を演じてもらえるなんて、大満足です!」と中家先生。一方の中村さんは、中家先生の“分身”とも言える花恵を演じることに緊張もあったと言う。
中村「中家先生が撮影現場にきてくださったときは『大丈夫かな』とドキドキしましたが、先生から素敵な言葉をかけていただいて、とても安心しました。最初はタイトルや“公認不倫”という設定にインパクトを覚えましたが、本質と言いますか、前向きに幸せを求める一人の女性として役に向き合いました。ドラマは思わず花恵を応援したくなるテイストに仕上がっていて、この役に出会えて本当に良かったなと感じています」
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1997年生まれ。2011年、映画「5windows」で主演デビュー。以降、TVドラマ「まれ」「花にけだもの」、映画「知らないカノジョ」といった話題作に出演。2022年にはアーティストデビューも果たしている。
“公認不倫”の契約を結んだ花恵は、弘樹が提案する【既存】元カレ【新規】マッチングアプリ・クラブ【業者】女性用風俗という選択肢からセックスの相手を選ぶことに。週末、夫と娘を置いて他の男性に抱かれにいく…その葛藤をどう表現したのだろうか?
中村「花恵が弘樹に“公認不倫”を持ちかけられたときの悔しさ、悲しさは、女性としてすごく感情移入しやすいものでした。その共感をベースにして、『夫を見返してやる!』という悔しさを原動力にして花恵を演じました。弘樹とケンカをして感情をむき出しにするシーンもありますが、普段の私は感情的になることがほとんどないので、演じていて新鮮な場面もありました」
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悪気のなさを狙い過ぎず、あえて淡々と、自然体で演じる
夫・弘樹を演じるのは、佐野玲於さん。そのことを中家先生が夫に伝えると「俺、イケメンになっている!」と大喜びしたそう(まさに原作通りの性格!)。佐野さんは「夫役は初めてで、こういう役を演じる年齢になったんだという実感がありました。妻に不倫を依頼する性格も含め、新鮮な感覚で役に臨むことができました」と言う。
しかし、弘樹は難しい役どころだ。花恵に向かって“公認不倫”を提案することはおろか、原作では「セックスしたいと思うほどの価値も感じない」といった数々の暴言をあっけらかんと言い放つ。佐野さんが「弘樹に共感する視聴者は少ないはず」と苦笑いするのも納得だ。
佐野「自分勝手で、天然で、人を怒らせるけど、悪気はない。客観的に見て面白い人間だなと思いました。けれど、演じる際に悪気のなさを狙い過ぎるとキャラクターがブレてしまう。あえて淡々と、自然体で演じることを意識しました」
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1996年生まれ。2012年、GENERATIONSパフォーマーとしてメジャーデビュー。TVドラマ「GTO」「インフォーマ」、映画「虹色デイズ」などに出演し、俳優としても高い評価を得ている。
一方で、弘樹なりの“正義”もある。弘樹はできるだけ夫婦の言い争いを避け、平穏な環境で娘を育て、花恵に対して家族を“運営”するパートナーとしての役割を求めている。無論、そこに愛はあるが、セックスは必要ない。
佐野「物語の核となるのは愛で、その中でちょっとずつ価値観がズレていく。夫婦の真剣で切実なやりとりがポップに描かれている作品だと思います。結局のところ、花恵も弘樹も善人で、悪人は一人も出てこないんです。それぞれの立場の正義があって、さまざまな愛の形が描かれている。だからこそ、多くの人に共感していただけるドラマになったと思います」
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ドラマの撮影を通じた結婚の疑似体験
中村さんと佐野さんの共演は本作で3度目。そうした関係性があってこそ、結婚5年目を迎えた夫婦の空気感をナチュラルに醸し出している。
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中村「良い意味で気を使わず、とてもやりやすかったです。コミュニケーションの壁はまったくと言っていいほどありませんでしたね。佐野さんは真摯にお芝居に向き合っていて、少年のような心の持ち主なんです(笑)」
佐野「現場では冗談ばかり言っていましたね(笑)。シーンの相談をはじめ、中村さんとしっかりコミュニケーションがとれたおかげで、夫婦のやりとりは面白く仕上がっていると思います。空気感という意味では、娘を演じた希歩ちゃんの存在も大きかったですね。家族としての空気感が自然とできあがって、『子どもは親が揉めると、自然とこういう気遣いをするのかな』という発見もありました」
中村「私たち夫婦がバチバチしている間、春奈ちゃんが絶妙な表情で隠れたり、逃げたり。家族の中で一番大人びていて、でもすごくかわいらしくて。心を奪われるシーンが何度もありました」
夫婦として、家族として役と向き合う中で、中村さんと佐野さんは「撮影を通じて結婚を疑似体験した」と口を揃える。
中村「結婚を経験したことがないので未知の部分が多かったのですが、『夫婦って必ずしも意思疎通ができているわけでも、価値観が合うわけでもないんだ』と気付かされました。わかり合えているようで、わかり合えていない。でも、そうした中でお互いを尊重し、思いやりを持つことが大事なんだと、すごく考えさせられました」
佐野「最初は恋人同士だった2人が夫婦になり、子どもが生まれて家族になることで、愛の形が変わっていく。そんなことを感じながら、僕はまだまだ結婚できる器ではないなと確信しました(笑)」
この作品は、傷ついた人を救い、元気を与えてくれる
“公認不倫”という奇抜な設定をコミカルなタッチで描く中に、夫婦や家族、愛の本質がぐさりと胸に迫る本作。最後に、笑いの奥にある作品の魅力を語ってもらった。
中家「夫婦といえども他人なので、価値観は多かれ少なかれ異なります。佐野さんがおっしゃるように、愛の中で価値観がズレていく。そして、中村さんの『わかり合えているようで、わかり合えていない』という表現はまさにその通りで、夫婦には価値観をすり合わせていく努力が絶対に必要だと思います。お互いが努力をすれば、夫婦関係は続けていける。そして、夫婦や家族、愛の形は多種多様であっていい、と伝えたいですね」
佐野「愛の形は人それぞれですよね。“公認不倫”という設定ながら、コメディーとして気軽に楽しめる点が魅力ですし、人との関係性に悩んでいる方にとっても気づきのあるドラマに仕上がっていると思います。ドラマの撮影を通じて、世の中のお父さん、お母さんへのリスペクトがすごく芽生えました。全国の頑張っているお父さん、お母さんに、エンタメとして楽しんでいただけたら嬉しいですね」
中村「今は夫婦関係がうまくいっていなくても、もしかしたら別の方向で良くなっていくかもしれない。この作品には、そういった“救い”のようなメッセージがちりばめられています。人は傷ついたままだと落ち込み続けてしまうので、ときには笑いの力で忘れることも大切。この作品には元気を与えてくれるパワーがあるので、笑って楽しみながら花恵と弘樹を応援してください!」