職場の先輩の話です。
生真面目な技術者である先輩は、霊など全く信じていませんでした。
26歳の時に健康診断で要検査の診断が出、検査入院することになりました。
夜、寝ていると小学校低学年くらいの男の子がベッドの脇に来て「お兄ちゃん、寒いよ…」と布団を引っ張りました。
「夜はみんな寝てるんだから自分の部屋に戻りなさい」と言うと、そのまま部屋を出て行ったそうです。
その次の日も同じ男の子が来て、今度も「お兄ちゃん、寒いよ…お布団ちょうだい」と布団を引っ張りました。
「どこの部屋に入院してるの?」と聞いても答えず、布団を引っ張り続けます。
その手を離そうとすると男の子の手は氷のように冷たかったそうです。
手を布団から離すと諦めて部屋から出て行きました。
次の日、看護師さんにそのことを話すと「あぁ、やっぱり来ましたか」と驚きもせず答えました。
理由を尋ねると、以前に6歳の男の子がこの病院で亡くなったそうです。
その子は年の離れた大学生の兄に虐待を受けてて、真冬のベランダに裸で放り出されて低体温で救急搬送されてきたそうです。
病院に運ばれてすぐに息を引き取りましたが、最期の言葉が「お兄ちゃん、寒いよ…」でした。
その後、年が近くて雰囲気が似ている患者(痩せ型、短髪、真面目そうな男性)が入院すると現れるそうです。
先輩はその日の内に病院を出て、後は通院検査にしてもらったそうです。