恐怖体験と言えば、ある夜勤の時のことだ。
医療関係にはつきものの話で、当事者としては面倒くさいことをってのが本音だった。
ある夜勤の時、同僚と詰所で事務仕事していたんだ。
見回りもしたし、特に何も無かったんだが、突如不法侵入の警報が鳴ったのさ。
赤外線カメラが裏庭に近いところの窓付近からの「何か」を捕捉したんだ。
警備員が来るまでの間に一応、確認しなけりゃならない。
ところがだ、場所的に侵入困難な位置なんだ。
足場は、結構下にある。
いわゆる上層階に当たる窓なんだよね。
ルパンかよ、とか思いつつも確認。
まあ、誰もいないから誤動作だろうなって思っていたのさ。
詰所に戻ると警備員が来ていて、どうも猫を捕捉したためだろうとか言うのさ。
なんだよ、まったく。とか言いながら報告書書いて、見回りして。
同僚が仮眠に行ってさ。
ああそういや、カメラの映像確認しなきゃな、って。
該当の時間、ああこいつが猫か。って言うのが映っていたんだが、
現れた方が窓からだったんだ。
カメラの精度のせいかも、ね。
そこの部屋は空き部屋だ。
正確には、ちょっと前に入っていた人はいたんだけど亡くなってるんだよね。
妙に身軽で窓から抜け出そうとするお婆さんだった。
ああ、そういえば猫好きだったっけ、ってふと思い出したよ。