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漫画(まんが) ・電子書籍のコミックシーモアTOP > 特集一覧 > 【発表】オカルト恐怖体験2016
視線
これは私が小学校6年の修学旅行で体験した話です。

私が通っていた小学校は毎年修学旅行に長崎が選ばれるのですが、その理由に原爆の悲惨さや恐ろしさ、二度と起こしてはならない歴史を学ぶためで旅行で訪れる場所もそれに関連した施設や建物でした。

原爆資料館もその一つだったのですが、そこでグループ毎に別れ様々なモノを見て、感じて、それを旅行後に発表する事になっていたので私達グループ(6人)はその当時に着ていたけれど原爆で焼き焦げた衣服、また兵隊さんの自決用の銃等が展示されている場所を回っていました。
が、その時不意に視線を感じ振り返ると一つの写真に目が止まったのです。

それは兵隊さんが何人も並んだ記念写真。
本当に他の悲惨な写真とは比べようもない程何の変哲もない写真でした。

私は何故その写真に目が止まったのか…。
不思議でしたが、その時はそれ以上何も感じなかったのでただの思い過ごしだったのだろう。そう思っていたのですが…。


夕方、旅館に着きグループ毎に割り当てられた部屋に入った時、またその視線を感じたのです。今度は私だけではなく6人全員。

私達は部屋の異様な空気にも気付きました。明るい筈なのに全体的に澱んだ空気が漂っているのです。

「…なんか、変だよね?」「気持ち悪くない…?」そう言いだした子がいましたが「…実は私、資料館に居るときから気持ち悪いんだよね。ルルロロちゃんもそうでしょ?」一人の子(この子が非常に霊感が強い子なのですが…)がそう言ったのに私は驚きました。

思い過ごしだと思って黙っていたのですが、ずばりと当てられ結局「…うん、実はね」と白状しました。

私達は怖くなり、担任に部屋を代えてください。と頼みました。しかし、担任には聞き入れてもらえず…結局その部屋に泊まることになったんです。

けれど、夜になるにつれ部屋の空気が更に異様さを増していくのに私達は怖くて部屋の中心に固まって必死に我慢してました。

そして消灯の時間がやってきて…点呼に訪れた担任にもう一度だけ「部屋を代えてください」とお願いしたのですが、やはり聞き入れてもらえず無情にも部屋に取り残されてしまいました。
部屋の電気を消したくなかったのですが、消さなければ怒られるので消したんですけど…そこから恐怖が待ち受けていたのです。

6人で部屋の中心に固まってどれくらいの時間が過ぎたのか…昼間歩き疲れたせいもあり瞼が重くなってきた頃、奇妙な音に気付いたのです。それは6人同時に聞こえました。

一体何の音だろうか…ふしゅう、ふしゅう、まるで浮き輪の空気を抜いているかのような音が部屋中に聞こえるのです。私達はより一層身を寄せ固まりました。

ふしゅう、ふしゅう、一つだった音が二つに、二つだった音が三つ、四つ、と増えていくのです。

部屋中に…いえ、増えていく毎にどんどん耳の傍で聞こえるのです。

私は恐る恐る音がする方へ視線を遣り、そして恐怖に絶叫しました。浮き輪の空気を抜いているかのような音…それは耳元で血塗れの兵隊さんが繰り返す苦しげな息だったのです。



その後の事は覚えていません。ただ朝は6人とも別の部屋に寝かされていたことだけでした。

あの兵隊さんは何かを訴えたくて現れたのでしょうか…知る術もありませんが。

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