ある日家族旅行に車で出かける事になりました。広島から九州へ早朝に着いて、その日は一日中車であちこち見て回るという弾丸旅行計画でしたので、出発が夜中の2時でした。
車が、ある寺の峠に差し掛かった時の事でした。
峠は以前から幽霊が出るという噂のある知る人ぞ知る心霊スポットです。
主人によるとその寺が出来て、墓地が出来るまで、女性の幽霊が出ていたそうです。
今でもタクシーの運転手が白いフワフワした物を飛んでいる所を、目撃する事があるそうです。
私達が峠の寺の、道路沿いのお地蔵様の前を通った時、車のライトに照らされて、ハーフパンツを履いた痩せた男性の足だけが一瞬見えました。
下半身だけで上半身は暗くて全く見えませんでした。
寺は人家から離れた峠の真ん中に建てられています。
(こんな夜中に御墓参り？犬の散歩？でも夜中の2時だよね？住宅街から離れているのに夜中にわざわざ歩いて来たの？こんな寂しい場所に、普通ふらっと夜中に散歩に来る？)と頭の中はハテナだらけでした。
「あれ、何だったの？」と考えれば考えるほど怖くなる出来事でした。
私が見たのはやはり幽霊だったのでしょうか？
幽霊かどうか確証が持てなかったので、しばらく主人にはその話をしませんでした。
ある日主人に
「あの時さぁ・・・。」
と話した時
「僕も見た」
と聞いて始めて同じ体験をした事を知りました。

その峠にまつわる話はこれだけではありません。
主人の妹の同級生の男の子3人が、峠の林の中に、ポツンと一軒だけ建つ、空き家に肝試しで入った事がありました。
その家は一家が惨殺されたという噂の家でした。
肝試しをした直後、同級生の男の子達の一人は事故に遭い、1人は高熱を出して寝込んだりと不幸が続いたそうです。
肝試しの祟りだったのでしょうか？
その空き家は火事があって燃えてしまい今はありません。