いかにもな翻訳文学調の出だしから、彼はぶれない。本気なのだということ、ストーリーはひたすら強調。
ヒロインはと言えば、なんだかんだ誤魔化しも入れるけれど、基本彼とHがしたかった、平静さの仮面を辛うじてかぶり続ける、依存心が少ない女性。
ヒロインの環境、生き方、考え方、説明入るも実在感無し。
幼馴染から恋人へ。萌えシチュのはずなのに、ここは心の中の昇格場面見せてくれず。互いにいつの間にか意識してた、というはしょり方は、この頁数では仕方がないが、Hをどう、いつ、いかにそのシーンで読者を煽るか、で話が出来ている。それも、二人が致す迄を勿体つけているかのよう。それを、彼がヒロインを大切にしていることの証左に利用して。
時折彼と入れ換えて語られるヒロインの状況説明の時に、その視点転換が全体の客観的な状況把握の補強材料として使われているものの、プロポーズ成功良かったネ、で終わってしまう。性欲的なニーズは捌かれているのだが、読み物としての総合力は弱さを感じる。
池の場面も唐突にして、物語としての単調を避ける道具にしか感じ取れなかった。
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