鎌倉時代に成立した古典『吾妻鏡』を典拠とした書き下ろし長編小説です。金槐和歌集など歌人としても高名な三代将軍源実朝の悲劇的な人生を、その没後20年に「私」が語る、という体裁をとっています。1943年9月25日に刊行された錦城出版社版を底本に、巻頭に解説「滅びの予兆に託した中期の意欲作」(北条一浩)を収録しました。口語文を2010年の常用漢字改定に照らし合わせ現代仮名遣いへ改めるとともに、常用外漢字にはルビを振り読みやすくした縦書版電子書籍です。
著者について:
1909年6月、青森県北津軽郡金木村(現五所川原市)生まれ。本名、津島修治。東京帝国大学仏文科中退。1935年「逆行」が第一回芥川賞候補になる。1936年第一創作集『晩年』刊行。以後、「女生徒」「斜陽」「人間失格」等著作多数。1948年6月没。