既婚のミドル男女が織りなすロマンス。舞台はもはや著者の庭先と言っていい京都の町。女性の、相手の男の配偶者に対する細やかな心情も描かれ、また性愛小説の核たる絡みの部分も十分な長さが確保され、手堅い短編に仕上っていて、良作と言える。ただ、作中に
はソフトながらSMプレイも少なからず描かれているが、小道具として題名ともなっている紐の迫力が弱い。紐を使ったプレイが何となく浮いているのである。アブノーマルプレイに関心のないやなぎやこ的には不要とさえ思え、倒錯なしでねっとりと書いても十分いけるシチュエーションではなかったかと思える。それでも女性が魅力的に表現されていることなどを考えあわせ、星三つで着地。読んで損はないと思う。
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