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死の瞬間、私たちは何を見るのか。魂はあるのか。それはどこへ行くのか。がんを患った女性の「死のプロセス」を、禅僧の芥川賞作家が臨死体験記録や宗教体験をもとに迫真のリアリティで描いた。――娘夫婦の住む東北に移り住んだ「私」は、80歳を前にして難治のがんに侵される。死後、魂はどうなるのか。天国や地獄はあるのか。娘の夫で僧侶の慈雲さんに尋ねると、仏教のお経の話とともに最先端の物理学の話までしてくれる。「アミターバ。つまり無量の光。あるいはアミターユス。無量の命。要するに阿弥陀さんですよ。いいですかお母さん、極楽浄土ってのは、なにか私らには計り知れない存在の意志や思いが実現してる場所らしいんですよ。それを疑わないことです」家族と最期の時を過ごし、徐々に自分の死を受け入れ、思い出の時間と場所を意識が往来するうち、今ここの現実と思い出の境界、それらを一つにまとめあげる時間の感覚も次第に薄れていく。そして光に満たされる圧倒的な体験とともに「私」が見たものとは?近親者の死を見送った方々をはじめ多くの共感を得、作家・批評家に絶賛された「死という出来事」を追体験する小説。「今回、久しぶりに読み直しながら、私は末期の時空を追体験していた。そして『時間という煩悩から解放された状況』が、あらためてなかなか佳く書けていると思えたのである。私は今でもこのようなことが末期には起こるような気がしている。いつ『意識の混濁』を体験してもおかしくない……、いや、やがて死ぬすべての人々に、『アミターバ』を読んでほしいと思う」(復刻版のための「あとがき」より)
9784909507006
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