※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
子どもの発達にとっての環境,とくに社会的環境の役割を,心理学にとどまらず関連諸領域での豊富なデータにもとづいて検討することを通して,発達とは何か,教育とは何かを考えてゆく.教育に携わる人々にぜひ一読していただきたい好著である.
目次
はしがき
Ⅰ 遺伝と環境
1 人間の共通性と個人差
2 遺伝か環境かの論争
社会体制と人間観/ ヨーロッパとアメリカ/ 科学と政治
3 遺伝か環境かの研究
血は争えぬか/ 二つの要因の分離/ 遺伝規定性の見積り/ 遺伝と環境の「相互作用」
4 最近の論争
ヘッドスタート計画/ 遺伝論者の挑戦/ 知能遺伝論の問題点
Ⅱ 遺伝と社会
1 「遺伝と環境」の意味の変化
2 発達への介入
表現型を変える/ 機能を変える/ 3 遺伝現象のコントロール/ 個人の発達と「人類の進化」/ 優生学の思想/ 発達についての価値観
Ⅲ 初期発達の将来への影響
1 発達に影響する要因
マッセンの分類/ ヘップの分類
2 胎児期発達の生物・社会的要因
胎児と社会/ 胎児期環境としての母体/ 未熟児出産(早産)
3 初期経験の影響
4 発達初期の環境剥奪―― 野生児のケース
野生児/ 野生児は発達について何を示すか
5 発達初期の環境創奪例――ホスピタリズムの場合
ホスピタリズム/ 情緒的剥奪と社会的・感覚的剥奪/ マターナル・デブリベーション
Ⅳ 知能と環境
1 知能の集団差
集団の差と個人の差/ 集団の差をもたらすもの
2 不利な環境下の進行する遅れ
「発達」の中味/ 拡大する経験の質的差異/ 環境からの影響の蓄積と潜在効果
3 環境の改善と知能の向上
知能の年齢差と時代差/ 知能と学校教育
4 ことばと環境
言語能力の集団差/ 言語経験の量/ 言語経験の質
5 遅れを償う教育・予防する教育
直接的な教えこみ/ 母親の役割/ セサミ・ストリートの効果/ 環境研究の必要性
V 発達の多様性と可能性
1 文化による適応と文化への適応/ 遺伝による適応と文化による適応/ 文化への適応/ 適応性の多様さ/ 文化に対応する発達
2 能力とは何か
知能検査の守備範囲/ 知能検査と文化/ 測られていない能力/ 欠陥仮説と差異仮説
3 人間の多様性と教育
多様性と平等/ 発達の可能性への信頼
引用文献