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著者、ロザムンド・ブラックラー女史は、十五歳で義務教育を終えすぐ社会にとびだす貧困家庭の少女たちのケースワーク、カウンセリングに、ロンドンではじめてとりくんだ人である。本文にもあるが、いろいろな点で未成熟であったり、性的な無知からくるあやまち、非行などが生じやすい彼女らに、学校の最終学期から社会にでたあとまで援助の手を差しのべようとする。著者の提唱した活動は「アボンデール・フロジェクト」とよばれる。そして彼女は、学校やクラブでの話合いセッションに、家庭訪問に、就職や家の世話に八面六臂の活躍を示すのである。
ブラックラー女史の接したような少年少女たちは、一見些細と思われることで蹟き、そのあとはだれか適切な援助者がいないと、ずるずる転落の道をあゆむ。著者がたびたび強調するように、失敗、失望、不安、挫折などをその個人だけの問題に帰するのは当をえていない。地域社会全体、そこにすむ一つ一つの家族、学校やその他の地域公共団体などがその責任の大きな部分をせおっている。彼らを援助するには、このような個人の背景を必然的につくっている部分への働きかけ、その改善が必須であり、この事は予防活動の大きな側面である。前述の転落を芽のうちに摘みとることとならんで、困難ではあるがぜひとも取り組まねばならぬ課題なのだ。そして貧困家庭や少年少女の側に立っていうなら、この予防的援助ができるのは、アカデミックな専門家(精神医学者、狭義のカウンセラーやケースワーカー)、学校の教師などではなく、独立した個人として地域に入りこみ、信頼に値する、受容的理解的態度でいつも接近してくれる友人なのである。(「あとがき」より)
目次
感謝の言葉
はしがき フェイス・スパイサー
序章
1 問題
2 仕事の開始
3 仕事の構想
4 モリーン
5 キャロルとブレンダ
6 ベティー、シルビア、ダイアドリー、クィニー、ルース
7 ベラ、アルフ、マレーヌ、ディジィ、ジャネット
8 十五歳の少年少女たちの会話
9 結論
あとがき 佐伯守夫