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本書は日本の歴史を東アジア史の一環として把握しようとする立場で叙述されたものである。そのうち、序章から第二章までは、中国王朝を基軸とする古代東アジア世界の中で、いかにして日本が古代天皇制を形成し、律令国家を完成させたかということを、中国王朝および朝鮮諸国との国際関係の中で理解しようと努めたものであ(中略)る。第四章以下は古代東アジア世界の崩壊に伴って(中略)、東アジア諸民族がそれぞれの民族文化を形成するとともに、また諸民族相互間の経済的交易関係が緊密となり、そのことをめぐって再び東アジア世界が再編されるという歴史過程の中で、日本はこれといかにかかわりながらその歴史を展開させたかということを問題にし、その歴史の中で近代世界への対応の素地が形成されるとともに、またその対応の仕方が東アジア世界からの離脱と近代世界への自己同化であって、そのために東アジア諸民族を犠牲にすることはあっても、そこに新しい世界秩序のための価値体系を創出しようとする姿勢は認められなかった、ということを述べて、世界史における日本の位相を省察しようとしたものである。(「あとがき」より)
目次
序章 倭国の形成とその国際的契機
一 『漢書』地理志の記事/二 冊封関係/三 文書外交と漢字文化圏の形成/四 倭国の発展とその国際関係
第1章 一―三世紀の東アジアと倭国
一 東アジア世界の形成とその展開/二 王莽政権と東アジア世界/三 後漢王朝の形成と東アジア世界/四 三国分立期の東アジア世界
第2章 四―六世紀の東アジアと倭国
一 謎の世紀/二 「倭の五王」と東アジア情勢/三 「治天下大王」と東アジア情勢
第3章 七―八世紀の東アジアと日本
一 七世紀初頭の東アジア情勢/二 対隋外交の背景/三 対唐外交の開始事情/四 七世紀前半の東アジア動乱と倭国/五 七世紀後半の東アジア動乱と倭国/六 渤海国の成立と日渤関係の発生/七 八世紀の東アジアと日本
講演 遣唐使問題再考
一 東アジアに視点をおいて/二 国際政治のなかの遣唐使/三 初期遣唐使の派遣目的/四 冊封体制からの離脱事情/五 遣唐使の性格転換
第4章 東アジア世界の変貌と日本
一 唐帝国の衰亡/二 古代東アジア世界の解体/三 民族文化の出現/四 東アジア交易圏の形成
第5章 東アジア世界の再編と日本
一 モンゴル帝国の出現と東アジアの変動/二 元寇と東アジア諸国/三 東アジア世界の再編と勘合貿易/四 勘合貿易体制の崩壊と中国経済の発展/五 秀吉の朝鮮侵略/六 鎖国と江戸時代文化
終章 東アジア世界の終焉と日本
一 東アジア世界の終焉/二 回想と省察
あとがき
参考文献
〔付録〕略