ルーマンの思考が切り開く
新たな社会学の地平
ニクラス・ルーマンが切り開いた社会の自己産出系論を経験的な社会科学のひとつとして位置づけ、鍛え抜かれた思考をより広い地平へ解き放つ。「社会学の溶解」が問われる現在、新たなルーマン像を「中範囲の理論」として描き出し、社会科学へ回帰させる試み。
【主要目次】
序論 経験的システム論への転回――社会学における理論の地平とマスメディア
I メディアと社会
1.サブカルチャー/社会学の非対称性と批評のゆくえ――「世界を開く魔法」社会学編
2.制度と技術と民主主義――ネット社会の政治システム
3.世論と世論調査の社会学――「前面化」と「潜在化」の現在と未来
4.現代メディアと批評する個人――ジャーナリズムのシステム論から
5.機能的に分化した社会のマスメディア――報道するシステムと知のあり方
6.「社会学の知」の位置と資産
II システムの公理系
1.自己産出系の公理論――システム論のsyntaxとsemantics
2.自己産出系のセマンティクス――あるいは沈黙論の新たな試み
3.回帰的なネットワーク――社会の自己産出系の解説1
4.「固有値」と機能的分化――社会の自己産出系の解説2
III システムとネットワーク
1.ネットワークと境界性――「第三世代」システム論からの考察
2.オートポイエティック・システム論から組織を見る――「二次の観察」としての理論の射程
終章 人と学術