明治、大正、昭和という激動の時代を生き抜いた文学者が、満蒙旅行を経験することでいかなる中国とのかかわりが生まれたのか。数多くの文化人が訪れ、表象された「満蒙」と向きあい、歌人として、評論家として自らの言葉を発信しつづけた与謝野晶子と日中戦争をめぐる時代像を描きだす。
【主要目次】
はじめに
第一部 表象された満蒙
第一章 満蒙という物語と与謝野晶子
第二章 想像力の投影先としての満蒙
第三章 晶子の風景、杢太郎の眼鏡
第二部 記録された「事実」
第四章 将軍夫人との劇的な出会い
第五章 張作霖爆殺事件の後
第六章 晶子が見たもの、見えなかったもの
第七章 満蒙という物語の続き
第三部 行き違いの響きあい
第八章 海を越えた詩心――「小詩」誕生のきっかけ
第九章 貞操論と文化誤読
第一〇章 女性評論の翻訳と紹介
第一一章 時事批評の射程――魂のリトマス紙になった言論
おわりに