本書は、日本におけるビルメンテナンス業の創生に取り組んだ立役者の一人であり、1990年に他界した、ビル清掃の理論家として知られた田中定二が、晩年に月刊『ビルクリーニング』(クリーンシステム科学研究所発行)に連載していた労作をまとめたもの。内容は、一時代前に執筆されたものでありながら、ビル清掃に詳しい専門家をして「時間の経過があるにも関わらず、いまだにそのまま使えるものばかりで、色あせていない」と言わしめるほど評価が高い。本書は,その連載記事原稿を復刻したものであるが、一冊の書としては初版となる。生前「清掃を科学に」との信念を持って後進の指導に当たり、ビルメンテナンス業務のレベルアップに多大な貢献をしてきた著者の業績を忍ぶとともに、現代において日々の業務に邁進している専門者にとって、清掃の原理、基本を学ぶ上での格好な実用字典として上梓された書である。