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まえがき毎年、お正月には、初詣でをする人びとで全国の神社仏閣が、あたかもお祭り騒ぎのようなにぎわいを見せ、その数は、日本人の二人に一人の割合だとまで言われています。また、入学試験のシーズンともなれば、絵馬やお札に祈りをこめて“合格祈願”をする受験生たちの姿も見られるようになります。人びとが参る神社仏閣には、“合格祈願”の北野天満宮や湯島天神、“商売繁盛”の銭洗弁天、“安産・子育祈願”の雑司ヶ谷鬼子母神などがあり、まさに、日本人は、今も昔も神や仏に支えられて生きているといった感さえあります。確かに、日本の歴史をふり返ってみても、神道は祭りを通して、日本人の民族意識を一つにまとめあげる重要な役割を果たし、また、仏教も、先祖の霊を祀る仏壇を中心にして、「家」の考え方を維持する役割を果たしてきました。ドイツの宗教社会学者・ルックマンの言葉を借りれば、神や仏は「見えない宗教」となって、日本人一人ひとりのパーソナルティの中に眠っており、私たちの血となり肉となって、心の奥底に生き続けているということになります。私たちは不幸に見舞われたり、危機的な状況に追い込まれたとき、我知らず心の中で神仏に手を合わせ、神社仏閣に詣でて神主やお坊さんに祈願や祈祷を頼み、憂き身をやつしたりします。これは、それまで心の底に眠っていた「見えない宗教」が、「目に見える宗教」となって現われ出たものと見ることができます。まさに、この「目に見える宗教」こそ、日本人にとっての“神さま・仏さま・ご利益さま”ということになるでしょう。
9784341088309
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