市井の人々の日常の機微を鮮やかに描き続け、数多くの名作ドラマを手掛けてきた山田太一氏の自選傑作集。
『今朝の秋』
1987年NHK放映。
ガンに冒された息子を前に老いた父に何ができるのか。
「八十をすぎても、子供にろくな言葉ひとついえん」
絆を失いバラバラになった家族が蓼科に集まり、最後のひとときを過ごす……感動を呼んだ表題作。
『なつかしい春が来た』
1988年フジテレビ放映。
浅草で食品サンプル製造を営む家族の元に、亡くなった祖父が姿を現す!?
「この世界は生きている人間たちだけのものではなく、いなくなってしまった人たちのものでもある」
小説『異人たちとの夏』の創作につながる正月ファンタジードラマ。
『表通りへぬける地図』
1988年テレビ朝日放映。
コンプレックスを抱え、お互いに羨望のまなざしを向け妬んでいた若い女性二人。
「みんな、バカだってなんだって可愛い子を選ぶのよ」
世間の評価に怒り諦め鬱屈していた二人の再生物語。
『あなたが大好き』
1988年TBS放映。
下町の江戸指物師の家の跡取り息子と山の手のお嬢様との結婚をめぐる物語。
「世田谷のね、重役のお嬢さんがね、こんな家へ来ようっていうのは、なんかあるわよ」
双方の親に反対される二人の恋の行方は……
『春までの祭』
1989年フジテレビ放映。
夫に先立たれ義父と息子の三人で穏やかに暮らしていた未亡人が、野心的な実業家に求愛される。
家族と実業家の間で心が揺れる未亡人、亡き息子の嫁の新たな恋に戸惑い葛藤する義父。
季節とともに移ろいゆく嫁と義父の心を丹念に描いた秀作。