公爵令嬢であるセラティーナ・プラティーヌには婚約者がいる。美しい灰色の髪と瞳を持つ青年、シュヴァルツ・グリージョだ。だが、彼は幼馴染である聖女様を愛していた。セラティーナは社交界では両想いの二人を引き裂く悪女と嘲笑われ、家族にも虐げられている。そんな彼女は前世、妖精族の夫フェレスと暮らした幸せな日々の記憶をよすがにしていた。ある日、彼女は婚約者と聖女のため自ら身を引き、帝国へ出奔してかつての夫に会おうと決意する。出国の準備中、ひょんなことからフェレスの来訪を知ったセラティーナは喜びに胸を躍らせる。一目でもいいから彼に会い、その後王国を去るつもりだったが、途端、今まで冷淡だった婚約者が彼女に執着しはじめて……!? ※電子版は単行本をもとに編集しています。