継母と継妹に虐げられる日々を送るモレッティ伯爵家の令嬢フィオナは、「冥婚」のため第一王子ヴァレリオの「冥妃」に選ばれた妹の身代わりにされる。
冥婚とは、死者に生きた花嫁を嫁がせる制度であり、亡くなった王子と結婚させた花嫁を殺し、一緒に埋葬する残酷な風習だった。
死を覚悟したフィオナだが、連れて行かれたのは古びた塔だった。
塔の地下で、フィオナは呪いの短剣で傷つけられた一頭の美しい白狼と出会う。
彼女は自身に流れるエルフの血に由来する治癒の力で、懸命にその狼を介抱する。
実は白狼の正体は、呪いをかけられたヴァレリオ王子本人で――。
死ぬはずだった身代わり令嬢が、呪われた王子様の秘密を知って、とろけるほど愛される運命の逆転劇。