主人公が肉体と精神を限界までボコボコにされ、絶望的どん底から這い上がる――そんな鬱展開からのハッピーエンド作品を何よりも愛する男は、女神のミスのせいで死んでしまう。お詫びとして願いを聞かれた彼が望むのは「鬱展開を生鑑賞できる世界」への転生。しかし、歪んだ欲望が発覚すれば願いを拒否される可能性があると考えた男は、「(鬱展開がありそうな)頑張っているひとの手助けがたくさんできる世界」を希望した。
男の崇高な願いに感動した女神は余計な気を利かせ、「戦争なし・悪政なし」の平和で優しい国の第三王子・ライアとして転生させてしまい!?
地位と権力と財を保証され、優しい家族や従者に囲まれて暮らす快適な日々はありがたい限りだったが――
「違うんだ。そうじゃない!」
鬱展開不足により限界を迎えたライアはまだ見ぬ美しくも絶望的な鬱展開を求めて動き出す――!
ゲスな欲望に忠実な外面(そとづら)だけは良い少年が心優しい王子として崇拝される異世界ファンタジー!