このレビューはネタバレを含みます▼
気候変動と戦争によって傷ついた未来社会を舞台に、「生き続けること」と「終わりを受け入れること」の価値を丁寧に掘り下げたSF作品
終末へ向かう世界の厳しい現実を描きながらも、物語全体にはどこか穏やかで慈しみに満ちた空気が流れている
難民出身の主人公が、人々の人生の締めくくりに寄り添うなかで自身の過去や存在意義と向き合っていく過程も見どころです
環境破壊や格差といった社会的テーマを扱いつつ、説教臭さよりも人間への眼差しが印象に残る‥
一方で結末は明確な答えを示さず、読者それぞれに死生観や希望のあり方を問いかける構成
そのため余韻深く心に残る反面、はっきりした着地点を求める人には少々もどかしく映るかもしれません
美しい情景描写と哲学的な問いが溶け合った、じっくり味わいたい一冊