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「人類が最も幸福だった時代」と後世の歴史家に称された、2世紀のローマ帝国。その最盛期に生きた人々が切実に願っていたのは、愛する家族に囲まれ仕事に誇りをもち、幸せに生きたことを、後の世に記憶してもらうことだった。政治史を中心としてきた著者が、帝国エリートはもちろん、市井の人々や被征服地の民に至るまで、古代人の「思い」に迫る。広大なローマ帝国の統合を支えたのは、彼らのどのような「心」だったのか。新たな視点から浮かび上がる、巨大帝国の知られざる素顔。18世紀の歴史家エドワード・ギボンは、『ローマ帝国衰亡史』のなかで、2世紀のローマ帝国を「人類が最も幸福だった時代」と評した。「ローマの平和」と呼ばれる時期に入り、帝国の版図が最大となったこの時代、人々は珍味に満ちた饗宴を楽しみ、剣闘士の戦いに熱狂し、公共浴場の快適さを味わいながら、満ち足りた日々を送っていた――本当にそうだったのだろうか。帝国の基本構造、ローマ人の一日、そして一生などに始まり、小プリニウスやタキトゥスをはじめとする帝国エリートはもちろん、奴隷や戦争の結果征服された土地である属州の民ににいたるまで、彼らがいかなる思いで帝国を生きたのかに迫る。最盛期の帝国はまた、無数の碑銘が死者に捧げられた帝国でもあった。碑銘は広く人々に開かれた表現の場であり、誰もがそれを立てて、自ら、あるいは愛する者が、家族に囲まれ、仕事に誇りをもって幸せに生きたことを後世に伝えようとした。その思いは、老若男女を問わず、帝国のエリートから市井の人々、さらに被征服地である属州の民にまで共有されていた。この古代人の心こそが、広大な帝国を結びつける力だった……!政治史を中心に研究を重ねてきた著者が、新たな視点から描き出す巨大帝国の内なる世界。【本書の内容】序 章 ローマ人の心を碑銘に読む第1章 ローマ人はどんな世界に生きていたのか一 ローマ国家の歴史/二 ローマ社会の仕組み/三 ローマ市民の「一日」/四 ローマ市民の「一生」第2章 帝国エリートたちの生きざま一 プリニウスの生き方/ 二 元老院議員の理念と生活様式/三 タキトゥスの考え/四 ローマ皇帝の下で生きること第3章 生と死から見る家族の肖像一 家族の形とつながり/二 死の習俗と家族/三 家族の外の世界第4章 属州の人々の心一 被征服地の変化と住民の心/二 属州支配の進展/三 支配に加わる人々と抗う人々第5章 平穏な帝国の暮らし一 平穏な時代のガリア/二 ガリア住民の信仰/三 墓碑や記念碑に見えるアイデンティティと生き方/四 構築された新しいアイデンティティ終 章 帝国の危機とローマ人の心
9784065420652
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