華族制度が残る昭和初期を舞台に身分違いの切ない恋を描いた連作集。『今は遠き楽園』。前後編次々と女中に手を出す放蕩な若き子爵、義就と、彼にはじめてを奪われ、それでも好きになってしまった女中の苦悩。『籠の中の蝶』最初の話に出てきた義就のいいなず
け祝子と書生の叶わぬ恋とたった一晩の思い出づくり。『夜の帳 密やかな恋』パーティーで出会い恋に落ちた男爵令嬢の薫子と男娼の義弥。一度は引き裂かれた二人だったがその後義弥が子爵になり再会。『楽園、近く』第一話の女中の老後の話。孫の世代でようやく結ばれる。特装版描き下ろし『夜の帳が下っても』薫子と義弥の後日談。初夜の話。身分違いの恋がテーマだけに前半2つが暗くて切なかったので、『夜の帳』のお話でハッピーエンドになり後日談も甘かったので良かったです。それがなければ星3くらいだった。この作家さんの作品は相変わらずエロいです。
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